先生の研究教えてください。
第18回
静岡大学 大学教育センター
トーマス・エゲンベルグ准教授
2010年8月21日号掲載
今回お話をうかがったのは静岡大学・大学教育センター所属のトーマス・エゲンベルグ先生です。
専門はドイツ文学と翻訳。よしもとばななさんをはじめ、さまざまな日本人作家の小説をドイツ語に翻訳しています。
「最近の研究テーマは、風景の描写や天候などの表現がどのように物語の雰囲気に影響を与えているのかということ。文学におけるテーマは、大昔からほとんど変わらず『愛・死・狂気』のどれかにつきます。だからwas“何を”伝えるかよりも、wie“どのように”伝えるかということの方に興味があります」
「日本文学の翻訳で難しいのは、方言をどのように表現するのかということ。例えば関西弁にぴたりと対応するドイツ語はありません。物語の現場は日本なのに、ベルリンの方言を使ったら違和感がありますよね。言葉の持つリズムにも気を使っています。日本語特有の擬音語(ぱたぱた、きらきらなど)は、ドイツ語に当てはめられません。同じニュアンスを持つ名詞や動詞で補います」
先生が翻訳の道に進んだきっかけは、本が好きだということ。
「大学生のころは母国スイスの本屋でアルバイトしていました。スイスで本屋になるには、さまざまな本の知識が必要。本屋になるための学校もあるくらいで、あまりアルバイトはとらない。だから私はラッキーでした」(笑)
最後に、先生にとって文学とはどんなものでしょう。
「僕にとって文学とは『生き方のレールから脱線させてくれるもの』。優れた本は自分の凝り固まった考えや先入観を気持ちよく壊し、新しい世界を見せてくれます。多くの優れた本と出合って自分を変えていく、そうして自分のまっすぐなレールから寄り道するのも楽しいですよ」
今日手に取ったその本が、あなたの人生を変えてしまうかもしれませんね。
プロフィル
Thomas Eggenberg(トーマス・エゲンベルグ)先生
奥さまと5 歳のお子さんとの三人暮らし。「おいしいものを料理して、おいしいお酒を飲むのが幸せ」。周りの空気や雰囲気を感じながら散歩をすることが大好きだとか
原稿作成 静岡大学/杉本雅美・静岡県立大学/波多野里香〈コラムカットも〉
このコラムは・・・
このコラムは、大学生たちによって企画され、大学生たちが静岡県内で最先端の研究をしている大学の研究室を訪れ、教授や准教授を取材し紹介していくというものです。リビング静岡では、大学生と社会をつなぐ橋渡し役になれればと願っています。これまで知らなかったような、新しい発見や驚きなどを伝えてくれる、学生たちのリポートにご期待ください!(隔週で掲載予定)
バックナンバー
|