先生の研究教えてください。
第9回
英和学院大学 人間社会学科 永山ルツ子先生
2009年6月6日号掲載
今回は、英和学院大学人間社会学科の永山ルツ子先生のお話をうかがいました。先生の専門は顔の認知心理学。「顔」が人の感情や行動にどのような影響を与えるのかを研究しています。
日常の中で疑問に思ったことを、心理学の観点から実際に実験しているのだとか。「子どもを乗せてクルマを運転していると、自然と安全運転になっていることに気付きました。運転中に子どもの写真を見ることが交通安全の面で危険運転を抑えるのでは、と思い実験しました。交通安全のポスターも大人より子どもの写真の方が、説得力があるでしょう」ドイツの子どもの顔写真が張ってある道路標識を見せていただきました。通学路にその標識を設置することで交通事故が減少したそうです。目で見たものが人の行動を変化させるのですね。
研究室では学生と一緒に多くの実験が行われています。「今、研究しようと思っているのは、人の思い込みについて。思い込んでしまうことで、モノや人の見方が変化するということを研究したいと思っています」と先生。
「小学生のころの友人の父親が心理学の大学教授で、お話を聞いたことから心理学に興味を持ちました。大学院時代から数えると15年間、今の研究を続けていますね」日ごろは、人が顔を認知したり、記憶したり、「見る」ということや、認知心理学の方法論について講義をしているそうです。
最後に、今後の展望について聞きました。「今の社会では研究に対してもすぐに成果をだし、商品化することが求められるけれど、地道にデータを集めるような研究がその基礎となっているのです。今のような研究を続けて、成果を社会へと還元したいです。そして、地道にデータを集めて社会を下から支えている人がいることを知ってもらいたい」
社会を心理学の観点から支える基礎となる認知心理学。私たちが当たり前だと思って何気なく見過ごしていることも、データをとって成果として示すのは時間も根気もいる作業なのですね。気になったあなたは、研究室のドアをたたいてみて。
プロフィル
永山 ルツ子(ながやま るつこ)先生
沖縄県出身。アイスクリームはバニラが好き。子どものための絵本集めと、旦那さまとの映画鑑賞が趣味
(原稿作成 静岡大学/後藤和美・静岡県立大学/波多野里香〈コラムカットも〉)
このコラムは・・・
このコラムは、大学生たちによって企画され、大学生たちが静岡県内で最先端の研究をしている大学の研究室を訪れ、教授や准教授を取材し紹介していくというものです。リビング静岡では、大学生と社会をつなぐ橋渡し役になれればと願っています。これまで知らなかったような、新しい発見や驚きなどを伝えてくれる、学生たちのリポートにご期待ください!(隔週で掲載予定)
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