vol.16 静岡市


 大崩もなか 

 大崩海岸は、県外の友人を案内する時に、絶対自慢できるスポットの筆頭格だ。今回の探険は、この大崩の名をつけた最中。用宗の名物としてすでに40年以上も親しまれてきた、いわばご当地最中である。
 作っているのは、昭和2年創業の松柏堂。かつては大勢の職人さんを抱えていたという店の奥には、お菓子作りの古道具がいろいろあって面白い。周囲に穴をあけた木の樽は、小豆餡を作る時に使ったもの。茹でた小豆を布袋に入れ、その樽に入れて水気をきったのだという。
 ご主人の市野勝美さんによれば「昭和30年代ってのは、景気が次第に良くなってきたころでしょ。旅行する余裕も生まれてきて、あっちこっちのお菓子屋でこういうご当地ものを次々に作ったんだよね」。そういえば、藤枝のサッカー最中も昭和32年の生まれ。国体の開催がきっかけだった。用宗も「昔は造船所があってね、ダンスホールや喫茶店が並ぶ、なかなかモダンな町だったよね。大きな料亭や芸者置き屋もあったし」と、奥さんの早苗さん。船の進水式など豪勢なお祝い事にも、こうしたお菓子が引き出物として活躍したに違いない。
 これからいよいよ夏の行楽シーズンである。麦わら帽子を持って、用宗海岸で遊ぶもよし、大崩海岸をドライブして海の色を満喫するのもステキだ。きたる6月28日(土)は用宗駅の北にある城山さんの祇園祭り。花火が上がり、提灯がいくつも灯って幻想的だ。静岡市街からやってくる若い人たちも多いらしい。初夏の一日、懐かしいひなびた匂いのする用宗で潮風を感じる休日があってもいい。

取材協力
松柏堂
住所/静岡市用宗4ノ4ノ32
TEL054(259)2101

(03/05/31号掲載)

▲大崩海岸の奇勝をかたどった最中は、小倉と抹茶餡の2種類。こつこつとご夫婦二人で作って商う。餡がずしりと詰まり、何でも同じのコンビニの味とはひと味もふた味も違う。1コ100円(税別)
▲東海の親知らず子知らずとうたわれた大崩海岸。“日本一!”と通が待ちわびる石部のアワビが味わえるのも、まもなくだ
取材&写真/Team A*K


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