vol.33 焼津市


 亀寶(きほう) 

 初鰹の季節である。ご存じの通り、新鮮な鰹のおいしさはまさに値千金。女節(めぶし・腹側)の皮付きなど、もうほれぼれする味だ。
  毎年のように鰹の水揚げ日本一を記録している焼津には、自慢の鰹を題材にしたお菓子が多い。
  今回はその中の一つ、亀寶最中をご紹介したい。50年近く、焼津の銘菓として愛されている。
  作っているのは、創業80年余りの老舗、白憙久(しらぎく)。初代の大沢治三郎さんが昭和32年に考案した。大沢家ではこの前年、現在三代目を引き継ぐ文彦さんが生まれたばかり。治三郎さん、きっと孫の健やかな成長を思いながら作ったに違いない。
  亀寶は、鰹節の中でも、鰹を三枚におろして作った亀節(かめぶし)をかたどっている。亀節は、女節と男節(おぶし)が仲良くくっついたハッピーな形。結納や結婚式の引き出物にも喜ばれるゆえんだ。
  さて、鰹。まるごと一本おろすのは朝飯前になろうという、焼津おでん探検隊の講座「かつおまぐろプロジェクト」が今年も参加者を募っている。
  食べることは命をいただくこと。「戦争中、鰹節を戦地の兵隊さんに送る時には、勝男武士(かつおぶし)と書いたそうですよ」と二代目の奥様が教えてくれた。
  命を大事に無事にという願いを鰹節に託した、悲しい時代もあったことを忘れたくない。

店名/白憙久
住所/焼津市本町5-1-3
営業時間/午前9時〜午後8時
水曜定休
TEL 054(628)2213


(05/04/23号掲載)


▲最中の皮は香ばしく焼き上げた`こがしaタイプ。餡のしっかりした甘さを引き立てる。一つずつ掛け紙にくるまれた美しさもお見事。
1個126円


▲魚市場を会場に、きらきら光る鰹をおろす「かつおまぐろプロジェクト」(5〜9月)。焼津ならではの感動体験
取材&写真/Team A*K


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