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日本生活情報紙協会 第8回エッセイコンテスト入賞作決定



 日本生活情報紙協会主催の「第8回エッセイコンテスト」に、 全国から合わせて593作品の応募があり、このほど入賞作品が決定しました。最優秀賞作品と入賞者をご紹介します。


エッセイコンテスト入賞者発表

  静岡リビング新聞社をはじめ、フリーペーパー発行社46社が加盟している日本生活情報紙協会が、募集をしていた「第8回エッセイコンテスト」の最終審査結果がこのほど発表されました。
この募集はフリーペーパーが、読者にどのように受け入れられているかを知るための試み。
今回は「生き生き人生とフリーペーパー…ケイタイ、パソコンと共に」をテーマに、フリーペーパーをどのように日常の暮らしに役立てているかを、読者の目線で綴ってもらったものです。593作品の応募があり、大変ユニークで充実した作品が目立ちました。
入賞者とともに、最優秀賞を受賞された田中あずささん(ザ・ファミリーに応募)の作品を紹介します。
同作品「選択肢はいっぱい〜定年を迎える父へ〜」は、団塊世代の父親が一足早く還暦を迎える母親のために、苦手のパソコンを使ってレストランの予約をする様子が、里帰りをしている娘の目を通して生き生きと描かれていて、ほとんどの委員が最高得点をつけていました。
残念ながら今回、静岡のエントリー作品は入賞を逃しました。

最優秀賞
▽田中あずさ(東京都・34)
「選択肢はいっぱい〜定年を迎える父へ〜」


優秀賞
▽風戸清恵(埼玉県・38)
「フリーペーパーが繋ぐ仲」
▽木原憲子(和歌山県・49)
「ささやかな楽しみ」


佳作
▽上野圭子(北海道・42)
「フリーペーパーで得た仲間たち」
▽小澤久美子(神奈川県・34)
「ママの宝物」
▽林由美子(熊本県・37)
「今日を段取る」
▽森永陸(三重県・29)
「エール交換」
▽横井恭子(愛知県・32)
「知りたいことはポストに入ってた!」
(以上敬称略)

 


最優秀作品
「選択肢はいっぱい〜定年を迎える父へ〜」


▲最優秀賞に輝いた、
田中あずささん
   「いやあ、今までいろいろままならないこともあったけど、このパソコンってのが一番、ままならないみたいだなあ」
  定年退職を今秋に控えた父がしみじみそう言うと、なんだか妙に実感がこもっていておかしい。
  久しぶりの帰省でハネを伸ばしていた私は、父の言葉にくすりと笑った。そうねえ、団塊の世代と呼ばれる父の世代の怖い物と言えば、地震、雷、火事、親父だっけ。とはいえ、おっしゃる通り、還暦間近。怖い物などもうないという風に見えますけれど。でも、パソコンを前にすると、あら不思議。その父が、まるでパンドラの箱に触れる少年のごとく、おっかなびっくり、本当にとっつきにくそう。それにしても、たまの休日。普段パソコン嫌いの父が、なぜ急にパソコンを立ち上げたかというと、どうやら来週の金曜日、父より一足早く還暦を迎える母のために、内緒でレストランの予約をしたいらしい。ま、そういう理由なら私も、「ままならない」と言う父の言葉を覆すために、お節介焼きの主婦として、腕をまくろうか。
  私がそっと父の後ろからのぞくと、やはりレストランのホームページ。週末ごとに実家のポストに投函される某フリーペーパーで紹介されていた、隠れ家的フレンチレストランだ。ついでに老眼鏡をかけた父の手元に目が行くと、そのフリーペーパーから切り抜いたのであろう、しゃれた写真付きのクーポンが、また妙にきっちり置かれてある。私はつい横から口を挟んだ。
  「なあに。このハウスワイン一杯サービス? 電話すれば早いのに」
  「いや、インターネットで予約というのも、こういう機会でもないと覚えないからね」
  へえ。さすが団塊の世代。頑張り屋。だが、しごくまっとうな答えの割りに、父の額には脂汗で、軽くフォロウが必要なようだ。「あ、そのボタン。そこをクリックするといいかもしれない」「お、そうか。こうすると、簡単にできるんだな」「うん。同じことを携帯でできるサービスもあるわよ」
  「そうか。いろいろあるんだな」
  「うん。選択肢はいっぱいね。お父さんも、これからの人生、選択肢がいっぱいあるわね。ゆっくり楽しんで。今までご苦労様だね」
  「ああ、言われなくても、目一杯楽しむよ。君らはまだまだご苦労様だね」
  ちぇ。可愛くないの。でも一番懐かしいのは、こんな親子モードのやり取りだったりして、思わず私は声を立てて笑っていた。 居間のソファで、猫みたいに目を細めていた母が、こっちを見る。母も母で、今朝のうちにフリーペーパーに○をつけて、父に見えるようにテーブルに広げておいたくせに、まだ知らんぷりしているのだから、ツールは変われども、うちの両親は、相変わらずなのだ。うれしいやら、おかしいやら。元気でね、二人とも。

 



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