JR東海に乗るたび、由比駅前に立つサクラエビが二匹乗っかったアーチがいつも気がかりで、とうとう 正月元旦に出かけてまじまじと眺めた。
おー、サクラエビが紅白の水引を結わえていたんだ。で、由比桜えび通りときたか…。これはご当地名物サクラエビを、どうですご進物にというコマーシャルアーチらしい。
しかし、そのサクラエビの繊細な足、いや、手をシルエットのように浮きたたせ、水引を両方から一生懸命引っ張って、どうです結わえましたという仕草と、ピーンとそらした髭(ひげ)が誇らしげで、名物ここにありと言わんばかりの気負いがいいじゃないですか。うーん、おめでたい、実にあっぱれなアーチだ。
海老(えび)は脱皮して生命の更新をはかるために、古来よりめでたい席には欠かせない食材のひとつだ。「腰を曲げても元気で長寿です」というところも買われているのだが、このあっぱれアーチのサクラエビは腰をそり上げている。若いのだ。いったい誰がデザインしたのだろうか。
ついでに、正月の由比港に足を向ける。すると、そこは大漁旗のオンパレードだった。
大漁旗は、沖にでた漁師が、陸で待つ者たちに大漁をいち早く知らせる目印として舟の舳先(へさき)にかかげた旗をいう。平安時代にはあったというから由来は古い。縦長の幟(のぼり)の上部に二本の線を引き、その下に家紋と船名、そして魚の絵柄ときたらしい。
現在は、その伝統の上に、宝船、鶴亀、のし、旭日(きょくじつ)、松竹梅、鯛などおめでたキッチュ図柄が主流となっている。
あの、あっぱれサクラエビアーチをくぐり、ここ由比港で大漁旗のオンパレードを見たからには、今年は大吉間違いない。
(キッチュ・ウオッチャー 八木洋行)
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